一言で「遺言書」といっても、おもに下記の3つの種類があり、それぞれ決められた様式があります。
遺言書は様式の条件を満たしていることが重要なのです。
種類 | 内容・様式 |
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自筆証書遺言 | 遺言者が、遺言の全文・日付・氏名を自書し、捺印した遺言 |
公正証書遺言 | 遺言者の指示により公証人が筆記した遺言書に、遺言者、公証人および2人以上の証人が、内容を承認の上署名・捺印した遺言 |
秘密証書遺言 | 遺言者が遺言書に署名・捺印の上封印し、封紙に公証人および2人以上の証人が署名・捺印等をした遺言 |
遺言を書いた人は、自分が死亡した後に遺言が正しく実行されるのを見届けることはできません。
そこで遺言者は、責任をもって遺言を実行する人=「遺言執行者」を遺言書の中で指定できます。
遺言執行者は、遺言を執行するために必要なことができ、相続人は遺言の執行を妨げることができないよう民法に定められています。
では、遺言執行者が指定されていなかった場合はどうでしょうか。
家庭裁判所に、相続人と利害関係のない遺言執行者を選んでもらうことができます。
ただし、遺言執行者は、必ず選任しなければならないものではありません。
もし遺言書を発見した人が「自分に不利な内容だったらどうしよう」と、1人で勝手に封を開けてしまったらどうなるでしょうか。
他の相続人は封のとかれた遺言書を見て、開けた人が書き替えたんじゃないかと疑うかもしれません。
こんなことが起こらないように、遺言書には「これは正規のもので、誰の手も加えられていません」という確認が必要なのです。
この確認を「遺言書の検認」といいます。
具体的には、遺言書を発見したら開封せずに家庭裁判所にもっていき、「検認済証明書」をもらいます。
ただし、遺言の中でも「公正証書遺言」は公証役場に原本が保管されることから偽造の可能性が低いとされ、検認を行う必要はありません。
Q1 | 遺言のない時はどうなりますか? |
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A1 | 遺言のないときは、民法が相続人の相続分を定めていますので、これに従って遺産を分けることになります(これを「法定相続」といいます。)。 ところで、民法は、例えば、「子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。」というように、「抽象的に相続分の割合を定めているだけ」なので(民法900条参照)、遺産の帰属を具体的に決めるためには、相続人全員で遺産分割の協議をして決める必要があります。 しかし、誰でも、少しでも多く、少しでもよいものを取りたいのが人情なので、自主的に協議をまとめるのは、必ずしも容易なことではありません。 協議がまとまらない場合には、家庭裁判所で、調停又は審判で解決してもらうことになりますが、これも、争いが深刻化して、解決が困難になる事例が後を絶ちません。 遺言で、例えば、妻には自宅と○万円、長男にはマンションと□万円、二男には別の土地と◇万円、長女には貴金属類と△万円といったように具体的に決めておけば、争いを未然に防ぐことができるわけです。 また、法定相続に関する規定は、比較的一般的な家族関係を想定して設けられていますから、これを、それぞれの具体的な家族関係に当てはめると、相続人間の実質的な公平が図られないという場合も少なくありません。 例えば、法定相続では、子は皆等しく平等の相続分を有していますが、子供の頃から遺言者と一緒になって家業を助け、苦労や困難を共にして頑張ってきた子と、そうではなくあまり家に寄りつきもしない子とでは、それなりの差を設けてあげないとかえって不公平ということもできます。 すなわち、遺言者が、自分のおかれた家族関係をよく頭に入れて、その家族関係に最もぴったりするような相続の仕方を遺言できちんと決めておくことは、後に残された者にとって、とても有り難いことであり、必要なことなのです。 |
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Q2 | 遺言の必要性が特に強い場合とは、どのような場合ですか? |
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A2 | 一般的に言えば、ほとんどの場合において、遺言者が、ご自分のおかれた家族関係や状況をよく頭に入れて、それにふさわしい形で財産を承継させるように遺言をしておくことが、遺産争いを予防するため、また後に残された者が困らないために必要なことであると言ってよいと思いますが、下記1ないし7のような場合には、遺言をしておく必要性がとりわけ強く認められる、といえます。 |
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